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「交通事故で仕事を失いかけた私|退院後、もう一度働けるのか試してみた」

「働ける。でも、家族を養えるのか。」

交通事故で大きな手術を受け、長い入院生活を終えて、ようやく自宅へ帰ってきた。

しかし、退院したからといって、事故前の生活に戻れたわけではなかった。

膝は思うように曲がらない。股関節も動かしにくい。痛みも残っていた。

それでも、私には妻と二人の子どもがいた。

家族の生活を守るためには、いつまでも仕事をしないわけにはいかなかった。

この身体で、本当に働けるのだろうか。

退院後の私は、その答えを探し始めた。

家に帰っても、身体は元に戻っていなかった

自宅のトイレは狭く、便器に座るだけでも苦労した。

二階の寝室へ行くには、手すりをつかんで階段を上らなければならなかった。

浴槽には入れず、立ったままシャワーを浴びていた。

通院するときは杖をつき、病院の送迎バスが来るバス停まで歩いた。

病院から自宅に戻っただけで、身体の不自由さがなくなるわけではない。

そんな生活を送りながら、私は仕事のことを考えていた。

生活費の内払いは、いつまでも続かない

入院中、私は相手方の保険会社と話をして、生活費として賠償金の内払いを受けることになった。

実際に毎月の振り込みが始まり、家計の不安は少し和らいだ。

しかし、そのお金がずっと振り込まれるわけではない。

妻はパートの仕事をしながら、家事や子育ても担っていた。

私は、いずれ自分の仕事で収入を得なければならなかった。

問題は、事故前と同じように働ける身体ではないことだった。

退院から約2か月後、以前の職場を訪ねた

私は、以前働いていた整骨院の社長に頼み、もう一度施術をさせてもらうことにした。

訪問鍼灸で独立することを考えていたが、すぐに自分の仕事だけで生活できるとは限らない。

アルバイトも必要だった。

それ以上に、確かめたいことがあった。

今の自分の身体で、施術ができるのか。

事故前の私は、整骨院でマッサージなどの施術をしていた。

自分に自信があったのは、その技術だった。

しかし、事故後の身体では膝も股関節も思うように動かない。

以前と同じように施術できるという確信はなかった。

久しぶりの施術で感じた違和感

施術を受けてくれたのは、以前の職場の同僚だった。

久しぶりに施術ベッドの前に立ち、手を動かした。

すると、指の感覚が鈍っていることに気づいた。

長い間、仕事から離れていた。

自信のあった技術でも、以前とまったく同じ感覚ではなかった。

自分では、うまく施術できているのか分からない。

そんな私に、同僚は言ってくれた。

「特に問題はないと思うよ」

とりあえず、安心した。

事故後の身体でも、施術ができるかもしれない。

その可能性を感じることができた。

仕事ができた。それでも問題は残った

再び施術の仕事ができたことは、私にとって大きな出来事だった。

仕事を終えたときには、充実感があった。

事故で身体が動かなくなり、手術とリハビリを経験した。

そんな自分が、もう一度施術をすることができた。

しかし、ここで一つの現実に向き合うことになった。

施術ができることと、家族を養えるだけの収入を得られることは違う。

事故前、私は一日に最大20人ほど施術していた。

ところが、事故後の身体では、一日に7〜8人程度が限界ではないかと感じていた。

膝や股関節の動きに制限がある。

痛みも疲労もある。

以前のように働こうとしても、身体がついてこなかった。

仕事に入る時間も短くなり、収入も以前より少なくなっていた。

施術者として仕事に戻れたことはうれしかった。

しかし、それだけでは家族の生活を支えられない。

私は、別の働き方を考える必要があった。

訪問鍼灸で独立するという選択

私が考えていたのは、訪問鍼灸で独立することだった。

患者さんのもとへ訪問し、施術を行う。

個人で保険を取り扱い、仕事の組み立てを自分で考える。

もちろん、簡単なことではない。

患者さんを見つけなければならない。

保険請求のことも考えなければならない。

そして何より、事故後の身体で訪問先まで移動し、施術を続けられるのかという問題もあった。

それでも、以前と同じ働き方ができないのであれば、今の身体に合う方法を探すしかない。

私は、その道を考え始めていた。

退院は、元の生活に戻ることではなかった

退院できたときは、うれしかった。

もう一度施術ができたときも、うれしかった。

しかし、その一つひとつが、事故前の生活を取り戻したことを意味するわけではなかった。

身体は変わってしまった。

一日に働ける時間も、施術できる人数も変わった。

家族の生活費は必要だった。

私は、できなくなったことを数えるだけではなく、今の身体で何ができるのかを考え始めていた。

交通事故からの再出発は、退院の日に終わったのではない。

むしろ、家に帰ってからが本当の始まりだった。

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