春の夕方。
私は施術を終え、バイクで家に帰る途中でした。
鍼灸師の国家試験に合格したばかりの頃です。
建築の仕事を辞め、夜間の専門学校に通い、ようやく手にした資格でした。
40歳を過ぎてからの再出発。
これから自分の技術で仕事をし、家族を養っていく。
長い時間をかけて、ようやくそこまでたどり着いたところでした。
その帰り道に、交通事故に遭いました。
交差点の手前で見えた車
交差点のかなり手前で、左側から車の鼻先が見えました。
距離は、およそ100メートルほどだったと思います。
私は減速しました。
車が出てくるかもしれない。
そう考えたからです。
しかし、車は止まっているように見えました。
私が通り過ぎるのを待ってくれている。
そう判断し、私は再び進みました。
止まっていると思った車が動き出した
ところが、車が出てきました。
避けることはできませんでした。
バイクは車に衝突しました。
車の側面、ヘッドライトのあたりだったと記憶しています。
身体がハンドル付近に当たり、そのまま空中へ投げ出されました。
回転したような感覚がありました。
そして、道路に落ちました。
アスファルトに耳をつけて見た景色
普段、見ることのない景色が目の前に広がっていました。
私はアスファルトに耳をつけた状態で横たわっていました。
雨が降っていました。
目の前には道路がありました。
いつもなら、バイクに乗って通り過ぎるだけの場所です。
その道路が、今は顔のすぐ横にあります。
ガードレールが見えました。
いつもなら腰のあたりにあるはずのガードレールが、目線よりも上にありました。
おかしな景色でした。
自分が道路に倒れていることは分かります。
しかし、身体を起こすことができませんでした。
震える手で、動かない足を押さえていた
手が震えていました。
足が痛みました。
ただ痛いという程度ではありませんでした。
痛みで、足をまったく動かすことができませんでした。
私は震える手で足を押さえていました。
少しでも動かないように。
動かせば、さらに痛みが走る。
そう感じていました。
だから、必死に押さえていました。
自分の手も震えている。
それでも、動かない足を押さえることしかできませんでした。
あの日から、私の人生は変わった
国家資格を取得し、これから新しい仕事を始めようとしていた時期でした。
しかし、交通事故によって、その後の生活は大きく変わることになります。
入院、手術、リハビリ。
そして、仕事や家族の生活、将来について、さまざまな判断を迫られることになりました。
この事故は、私の人生の大きな転機になりました。
次の記事では、事故後に搬送された救命救急での体験について紹介します。

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