障がい者グループホームでは必要な職員(肩書)は管理者、サービス管理責任者、世話人、夜間支援員、生活支援員になります。各職員でそれぞれ仕事内容は違うものの基本は利用者さんの支援が主な仕事であることは間違いないのですが、それぞれのグループホームで職員の利用者さんに対する支援の基本対応が違います。カラーが違うとも言いますが、本当にそれぞれで変わるものでしょうか?利用者さんそれぞれで特性や性格があるので違って当然と思われがちです。そのあたりを掘り下げてみたいと思います。よろしければお付き合いください。参考になると思います。
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一番利用者さんのそばで支援する職種と言えば世話人さんではないでしょうか。夜間支援員と兼務できるので利用者さんが作業所から帰ってきてから翌日作業所に出かけるまで基本世話人さんが対応されるところが多いと思います。では世話人のお仕事とはどのようなものがあるでしょうか。僕のところでは労働条件通知書にはこのように書いてあります。「個別支援計画の実施、食事の提供、清掃、投薬管理、各書類整備、相談、入浴、管理など入居者支援業務」が基本だと思います。仕方ややり方は各事業所でしばらく経験を積めばほとんどの方ができることだと思います。それぞれでの僕の経験したことは別の機会にしたいと思います。一つ言えるのは支援のスケジュールを頭に入れておけば特別なことがない限り進んでいくと思います。なぜなら僕のホームは満床でも4人なので支援の範囲が決まっているからです。話を戻しますが責任者の方針が別のところでも書きましたが「重度障がい者対応グループホーム」から僕の方針で進めている「軽度障がい者対応グループホーム(女性専用棟)」に応募される方の多くは経験者です。話を聞くと以前は重度の方を支援されている方がほとんどでした。また高齢女性の応募者ほど男性は✖、他害をされる方は✖と言われます。結構な経験を持っておられました。しかしながら僕のホームでは最高で75歳の高齢女性が働いていただけました。この仕事ははっきり言ってお世話人さんにおける利用者さんの特性対応が少なければほぼ家事がメインのお仕事と言えると思います。僕はいろんな経験から職員の配置は週1回の夜勤を基本としていて多い方で週2回、それも別の棟で1回ずつにしてもらっています。理由は別のところで書きたいと思います。なので多くの職員さんが必要ですし永く働いてもらわないといけないからです。そうなると体力に自信がなくても永く続ける覚悟のある60代の女性がほとんどになります。そういう意味ではたとえ未経験の60歳代でも70歳代でも利用者さんのためにとか会社のためにとチームで頑張る職員さんがいる僕のホームでは大変貴重な戦力となっていただけていますよ。
会社によっては「重度障がい者対応グループホーム(男女共同)」が方針のところもあります。そこではどのような対応をされているのかは僕には経験がないのでわかりません。利用者さんの基本的な支援は軽度でも重度でも変わらないと思います。でも障害特性によっては暴言、他害、自傷、重度身体介助の支援対応が当然のところがあるのでそのすべてを世話人さん(4人満床ならワンオペ)で賄わないといけないと思います。会社の対応によっては重度の方が支援が楽と言っているところがあります。上記に書いた応募された方から聞くと「重度の方は夜は寝てくれるから」と説明があったようですが僕が対応した重度の方は一晩中寝ずにあられもない姿でうろうろされていました。他にも迷惑行為はありましたが頓服は効きませんでした。その時のお世話人さんはショックを受けてしばらくして退職されました。会社の方針によってはそれなりに給与や待遇が手厚いところがあると思いますがそういった理由があると思います。ザクっとした判断としては一夜勤14000円が分かれ目だと思います。それ以上多いと重度対応と思えばよいと思います。ただ経験者の中には高齢と言われる70歳代でも重度対応しかできない方もいます。多分心底障がい者の方に支援することに喜びを感じておられると思います。その方が僕のホームに来られた時には全く支援できませんでした。面接では軽度の方対応ですがと話もしっかりしたのですが「全く問題がないので任せてください。」との返事でした。でも蓋を開けると1日で「支援できません、私には無理です。」とさじを投げられました。経験者だからこそ全くできない方もいます。前にも書きましたが軽度でも重度でも障がい者支援に楽なものはないという表れの一つでした。その方は多分「支援(身体介助)している私(世話人)はなんて素晴らしいのでしょう。」と自分に絶対の自信と自負があったのでしょう。障害をお持ちの方は私を絶対裏切らないしみんな私を好きになると思っていたところへ軽度の障害をお持ちの方の特性に出会ってショックを受けたと思います。経験者だからと言って過剰な入れ込みは利用者さんにとっても会社にとってもその方にとっても良いことはなかったと思います。経験者と言っても勝手な思い込みや特性に合っていない支援をするよりは全くの未経験者の方のほうが会社にとっては助かるという事例でした。
福祉サービスに限らず介護サービスでもそうですが常に人手不足は否めません。その意味では介護系のほうがはっきり言って給与は上だと思います。昨今の状況では介護職員の人手不足やコロナ禍で大変つらい仕事なので給与アップは国の課題となっています。そこで障害福祉サービスにも給与の手当が以前からされています。それこそが”処遇改善加算”と言われるものです。直近の状況もあってさらに”福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金”というものも追加的に算定されるようになりました。行政は給与を上げたいと本気で考えていると思います。でも経営者にとっては結構難しいところもあります。今回の交付金については経営側にも少し配慮がなされていますが”処遇改善加算”については経営者側には配慮されていないところが見受けられます。障害福祉サービスの収益は基本的に介護給付費や訓練等給付費などの国からのサービス費から賄われています。ですが処遇改善加算は行政書士等に依頼をして書類を申請して認められてから請求となります。つまり利用者さんの人数などで決まる金額を全部職員に支払うことしか認められていません。給与を上げることで発生する社会保険料の会社側負担分は見込まれていませんので申請手数料だけでなくその会社側負担も会社が負担することになります。また職員兼役員には給付できないことになっていますので会社の収益には一切回せません。会社側も職員の給与は上げたいと思っていても満床になっていなければ元々家賃は会社持ち。かといって職員の見る利用者さんが少ないので給与を減らしてもよいかというとそんなわけにはいきません。結局会社の負担は結果増える羽目になりかねません。そんな中でも利用者さんのためにと頑張っている職員の皆さんには少しでも待遇をよくしたいと思っている経営者の気持ちをもう少し国は考えていただければと思っています。
- 介助のかの字がわからなくても年齢が高くてもできる支援は多いと思います。逆に高齢者介護をしていた方は難しいと心得てください。
- 区分の3~4の中程度区分の方は介助が少なくて楽と思っていても精神的負担は区分の重たい方よりも大きいです。どの区分の方を支援するかは会社の方針です。その精神的負担は職員に直接かかってきますよ。
- 行政は本当に職員の給与を上げたいと思っています。でも会社には最低限でよいと思っているように僕は思います。